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研究風景味覚センサによる食肉の呈味性解析

肉の美味しさは味、香りや食感などの様々な要素から成り立ちます。特に、“味”は美味しさを決定する重要な因子の一つであり、味の評価は食肉の付加価値の向上にもつながります。味覚センサは、人間の舌の代わりに味を数値化することができるシステムです。味覚センサの利用により、図1に示すように食肉の味を数値化して、客観的かつ視覚的に評価することができます。

人間は舌にある味蕾(みらい=ぶつぶつ状のもの)の味細胞で化学物質を受容して味を感じることができます(味覚)。味覚センサは人間の舌を模倣した人工膜(脂質/高分子膜)を有しており、その膜センサに化学物質が結合することで生じる電気的な変化を感知し、味として数値化することができます。このシステムでは、基本五味を含む先味(酸味、苦味雑味、渋味刺激、うま味、塩味、甘味)と後味(苦味、渋味、うま味コク)を測定することが可能です。テレビでも取り上げられたことのある「プリンに醤油をかけて食べるとウニの味がする」という信じがたい話も、味覚センサを使った解析によって類似した味であることが証明されています。一見、難しそうな機械ですが、実は味を評価したい食品サンプルを液体状に調製してから、カップに入れ、パソコンで設定をすれば、あとは機械が自動で測定してくれる優れ物です(図2, 3)。

これまでは食肉の味は、トレーニングを行なった限られたパネリストによってしか評価できませんでしたが(官能評価)、味覚センサの開発によって簡便に数値として評価することができるようになりました。まだ広く普及されてはいませんが、官能評価をサポートすることができる優れたツールになることを期待します。

(北里大学 小宮佑介)