【大会報告】第58回日本食肉研究会大会
平成29年3月30日に神戸大学国際文化学部に於いて第58回日本食肉研究会大会が開催された。
大会は根岸晴夫会長の開会挨拶で開始され、午前中は、ドイツMax Rubner-InstituteのFredi Schwägele氏による「Recent Development in Meat Science in Europe」、帯広畜産大学の口田圭吾氏による「黒毛和種枝肉横断面の画像解析形質」の2演題が特別講演として催された。Schwägele氏にはご自身の所属機関の紹介から、欧州におけるPCRやHPLCを用いた追跡システムに関してご講演いただいた。口田氏には画像解析システムを利用した和牛肉の評価法についてご講演いただいた。
午後からは、伊藤記念財団賞受賞講演として若松純一会員(北海道大学)に、レビュー講演として芳山公一氏(伊藤ハム株式会社中央研究所)にそれぞれご講演いただいた。若松会員には「食肉・食肉製品の品質と機能性に関する研究」という題目で、近年、特に精力的に取り組んでおられる、食肉製品中の新規赤色色素の形成機構に関する研究および食肉の体熱産生機構に関する研究についてご講演いただいた。また、芳山氏には、「『事業を通じて社会に奉仕する』から『私たちは事業を通じて、健やかで豊かな社会の実現に貢献します』に向かう研究開発」という題目で、伊藤ハム株式会社および中央研究所のこれまでの歩みについて、各時代における商品開発の事例を取り上げご講演いただいた。
一般研究発表では、「鶏肉由来高機能ジペプチドの脳老化予防作用」(佐藤三佳子氏ら・日本ハム株式会社)、「鶏由来プラズマローゲンが認知症機能に及ぼす影響」(琴浦聡氏ら・丸大食品株式会社)、および「牛肉の焼肉香気の大量抽出法の改良と精製法の検討」(小林正氏ら・(一社)家畜改良事業団)の3演題の発表があった。その後、松石昌典副会長の挨拶により閉会した。
大会後は神戸大学生協「レストランさくら」にて研究交流会が開かれた。特別講演で講演いただいたSchwägele氏および口田氏を交え、親睦を深めた。なお、大会では119名、研究交流会では54名の参加があり、盛況のうちに終了した。