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食肉を学びたい人へ第2回 日本獣医生命科学大学 食品化学教室

本教室は応用生命科学部食品科学科の一教室であり、本来の研究対象は畜産物、農産物、水産物など食品全般です。しかし、1984年に沖谷明紘教授が赴任されてより、食肉を対象の中心とした研究が開始されました。1986年には筆者(当時助手、現在教授)が赴任し、2006年には沖谷教授が退職され、代わりに右田助教が赴任しました(2015年に他教室に異動)。この間、一貫して食肉を対象としたおいしさの研究が行われてきました。

6階に食品化学教室のあるE棟

6階に食品化学教室のあるE棟

(なお、食肉科学の講義、製造実習等は同じ学科の乳肉利用学教室が担当しています。)在籍する学生は例年15~20名(ほぼ学部3、4年生、数年に一度大学院生在籍)です。

筆者は、食品のおいしさの原因解明を主な研究テーマとし、特に食肉と魚介類を対象としています。おいしさの因子の中では香りと食感を中心に研究を進めています。

香りについては、牛肉の熟成で生じる二つの香り、生牛肉熟成香と和牛香を見出しました。

前者は酸素存在下で牛肉の赤身と脂身の共存部においてBrochothrix thermosphacta という細菌の作用で生成する甘い、ミルク様の香りです。後者は、脂肪交雑した和牛肉を薄切りにして酸素存在下で4℃に数日間置いたのちに加熱して生じる甘い、コクのある香りです。この香りの甘さにはラクトン類という揮発性化合物が寄与していることがわかっています。現在、この成分の生成機構を調べています。また、他の香りとして缶詰牛肉に特有な好ましい香り、レトルト加熱牛肉臭の成分やその生成機構を調べています。

香気成分のGC-MS分析

香気成分のGC-MS分析

食感については、真空調理や熟成でイカ肉や畜肉が軟らかくなる原因の解明を目指しています。今までのところ、真空調理での軟化はイノシン酸といううま味成分が筋肉タンパク質のアクチンとミオシンを解離させることがその原因の一つであることが明らかになりました。また、イノシン酸は畜肉の死後硬直の解除(解硬)にも寄与している可能性を示しました。

以上のように、食品化学、分析化学、有機化学、タンパク質化学を駆使した研究を行っており、所属学生は日々の実験によりおいしさの原因解明に挑戦しています。

(日本獣医生命科学大学 松石昌典)

作成日:平成28年6月16日