食肉用語の解説国産牛

国産牛とは,食肉に用いられるウシのうち,国内で生産されたものを指します。「食肉の表示に関する公正競争規約」によれば,「(前略)原産地の表示に当たっては,(中略)国産品にあっては国産である旨を,輸入品にあっては原産国名を表示するものとする。」とされています。また,海外で出生したウシを生体のまま輸入して飼養する場合や,逆に日本で出生したウシを生体のまま海外に輸出して飼養する場合などもあり得るのですが,その場合は,日本国内における飼養期間が外国における飼養期間よりも長い家畜(一番長くいた国が日本である家畜)を,国内で食肉処理したものを国産品とすることとされています。このため,「国内で出生し,国内で飼養された牛であること」が条件とされている和牛についても「国産牛」に含まれることになります(「和牛」の項目を参照してください)。

「国産牛」には,和牛以外のウシも含まれています。例えば,ホルスタインなどの乳用種のおす(ほとんどは去勢されています)や,搾乳を終えためすなども「国産牛」です。また,乳牛に乳を生産させるためには仔牛を出産させる必要がありますが,その際,黒毛和種などの和牛のおすと交配させて,比較的肉質の高い「交雑種」を出産させることもあります。この「交雑種」も,「和牛」のカテゴリには入らず,単に「国産牛」と呼ばれます。平成27年度の実績では,食肉処理された「国産牛」の頭数のうち,和牛は半数以下の43.8%であり,半数以上の55.1%がホルスタインなどの乳用種や,上記の「交雑種」となっています。
(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 佐々木啓介)